エッグ・スタンド

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<加納朋子最新情報>
 05年、中頃に『てるてる あした』(幻冬舎)
が発売予定(1/19)。


平成17年1月19日の1冊

ブレンダと呼ばれた少年』(ジョン・コラピント/無名舎)



 
 ここでもブログでも小説(フィクション)ばかり扱っているので、たまに
は非小説を取り上げてみようと思います。……っていうか、何ヶ月振り
だろう、ここを更新するのは(笑)。

 生まれか育ちか、という争いは今でも心理学などで問題になります。
 「育ち」側のマネー博士は、「性別の自己認識は環境的に要因によっ
て決まる」という理論を元にある「実験」を行なった。その被害者こそ
が「ブレンダ少年」です。
 この「理論」によれば「人間の性別は決まっているものではないか
ら、環境によって変えることができる」ということになり、つまり「男(女)
の子を女(男)の子として育てれば、女(男)の子になる」という結論に
至ります。
 
 さて、そのマネー博士に絶好のチャンスが訪れます。それは包皮切
除手術の失敗でペニスを失ってしまった男児の、性転換手術です。実
はこの男児は、一卵性双生児の片方であったので、「理論」を証明す
る上でこれ以上ないモルモットだったわけです。
 男児の両親はマネー博士の言うと通りに、彼を女だと言い聞かせ、
女として扱い、「少女ブレンダ」として育てることになります。
 そして、この「成功例」がマネー博士の功績として、メディアなどから
絶賛されます。



 しかし……ことは筋書き通りに進みませんでした。
 その後の調査によって、「少女ブレンダ」は「成功例」などではなく、
実際は自分が「女」であることに強く反発し、戸惑いを覚え「謎」の心と
体の不一致に苦しんでいたことが明らかになりました。
 そう、「少女」の興味は示す物は男のそれであり、「女の子らしいとこ
ろなどまったくなかった」。
 さらには「少女」は、今度マネー博士に無理やり会わせたら自殺す
る、と告げるのです

 ついに「少女」の父親は、全てを「彼女」に告白しました。その告白を
聞いて、「少女ブレンダ」はじっと耳を傾けていた。
 「彼女」否、彼はすぐにもとの性――男性に戻ることを決意します。ペ
ニスを形成する手術を受け、ディヴィットという男性としてやがては女
性と結婚し、彼女とその連れ子と家庭を営みます。
 やっと、彼は「本当の自分の人生」を手に入れたのです。

 本書はジャーナリストのジョン・コラピントが彼とその家族への100
時間以上におけるインタビューと丹念な調査によって、書かれたノンフ
ィクションであり、奪われた尊厳を取り戻すまでの心の叫びです。
 事実は小説より奇なりと言いますが、正にこの事実こそが諺を体現
しています。



 残念なことにディヴィットが38歳で自ら命を絶った、ということが最近
報じられました。結婚後もディヴィットは自らの性の問題に苦しめられ
ていたのです。
 彼の母親は「ディヴィットにつらい思いをさせた、あの酷い人体実験
が無かったら、彼はまだ生きていただろう」と語ったそうです。
 
 最後にディヴィットの言葉を引用します、彼の冥福を祈りつつ……。

結局、人間は自分以外の何者にもなれやしない。自分はいつだ
って、自分でなきゃならないんだ」 

           (ISBNコード 4-89585-937-1/ページ数 327) 
  
    


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